リオンとマグナス1 ■Vol.1 「ぐあぁ!!」 今日もまた一人、リオンの毒牙に獲物がかかる。 ここは広い平野の真ん中。 今レジストリア兵の見習い達がリオンを取り囲んでどよめいていた。 「う、嘘だろ?ミリティア式の最新兵器を装備したレジストリアの一等兵を・・・」 「化け物だ、あの先輩達が、ぜ、全滅・・・」 殺戮を繰り返し、闇を増幅させてゆくリオン。 最早人間ごときでは歯が立たない強さにまで成長していた。 「貴様らも、我と共に地獄へ来い!!」 彼がそう叫ぶと彼を包囲する残された見習い兵達は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。 「その程度か・・・殺す価値すらないな。」 リオンは彼らを追うことはせず、逃げ去るひ弱な生物をただ眺めていた。 ■Vol.2 リオンは彼らを追うことはせず、逃げ去るひ弱な生物をただ眺めていた。 「この程度、糧にすらならん・・・」 自分が闇の一部と化してまで復讐しようとした敵はこの程度だったのか? リオンは復讐心を通り越して失望感すら覚え始めていた。 そしてリオンが次の獲物を探して歩き始めたその時・・・ 「また、貴様らか・・・プレタゴンズ!」 リオンが一声叫ぶと目の前の空間がゆがみ、そこから3人の人間が現れた。 「ふふふ、今回こそプレタゴンズに来てもらうぞ、リオン。」 ■Vol.3 「ふふふ、今回こそプレタゴンズに来てもらうぞ、リオン。」 見抜かれていたことは彼らにとってはどうでもいいことらしい。 彼らの不敵な笑みにリオンはいい知れぬ不快感を覚えた。 「くどい!我を解剖してエネルゴンの力を解析しようなどとは不届き千番!」 しかし、リオンの咆哮にも彼らはまったく動じない。 「ふふ、大丈夫、今回が最後だ。お前のな・・・」 すると、もう一人が後ろから手錠につながれた女を連れてきた。 「おい、お前の名前は?」 突然奴らは女に名を聞いた。 すると女が無機質な声で答える。 「・・マグナ・・ス・・・」 奴らは満足げにうなずくと言った。 「そう、それで良いんだよ。ではリオン君、さらばだ。」 それだけいい残すとプレタゴンズは女だけを残して再び空間の向こうに消えて言った。 オリジン民謡詩「嘆きの樹」 1. リオンは深い森にいる 気高き魂は輝き 仲間達の足元を照らす 2. それはある日やって来た かりそめの力に魅せられて 世界は争い殺し合う 3. 世界は狂気に覆われた 力を求める強欲たち リオンは救いの旅に出た 4. リオンは狂気を駆逐した 傷つき故郷へ帰るリオン しかし森は裏切った 5. リオンはついに息絶えた 狂気と裏切りに殺された 死体は癒しを求めてさまよう 6. 私は救ってやれなかった ならばせめて守り抜こう 彼が愛したこの森を リオンとマグナス2 ■Vol.1 「なかなか出来るな、ならば敬意を表して最高の悪夢を見せてやる!!」 リオンの咆哮と同時にマグナスと名乗る女は再び飛び掛ってきた。 しかしリオンは動こうとしない。 「かぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」 マグナスが気合と共に蹴りを繰り出す。 しかし、そこにはリオンの姿は既になく、背後から一声。 「ぬるいわ。」 リオンの爪の一本が超高速で伸び、マグナスの首筋を・・・ 「ヒィイイァアァアアアァァァ!!」 突然奇声を上げるとマグナスはかがみこんだ。 捕捉し損ねたリオンは手元が狂い敵の肩を貫くのみに終わった。 「!!何事・・・」 マグナスはかがみこんだままいっこうに動こうとしない。 先までの動きからするとそれは不気味すぎるほどに静かだった・・・ ■Vol.2 マグナスはかがみこんだままいっこうに動こうとしない。 リオンはうかつに動けずただ様子をうかがっていた。 しかし、次のマグナスの発言で状況は一変する。 「リオン・・・リオン・・・・」 リオンは耳を疑った。 何故この女が自分の名を知っているのか・・・ 「リオン、リオン・・・リオン!」 するとマグナスは突然立ち上がった。 とっさに身構えるリオン。 しかし、立ち上がったマグナスの顔はさっきまでのそれとは全く別の人物であった。 「バ、バカな!!」 リオンは思わず叫んだ。 そこにいる人物は明らかにマグナスではなく・・・ ■Vol.3 「バ、バカな!!」 リオンは思わず叫んだ。 そこにいる人物は明らかにマグナスではなく・・・ 「バカな・・・なぜ、サーラが・・・」 するとサーラと呼ばれた女が口を開いた。 「リオン?リオンなのね・・・ここは・・・?」 リオンはあまりの状況の急変に思考が追いつかなかった。 その時、リオンの記憶が逆流し始めた。 マグナス・レジストリア・プレタゴンズ・惑わしハスの森・エネルゴン、そして・・・ 故郷の森、自分の死、暗黒の再生と全ての復讐を誓った日へ・・・ |